コンシェルジュコラム

2023.01.05 エアコン掃除

エアコン掃除スプレーは逆効果?使ってはいけない理由

エアコンから嫌な臭いがするときに、エアコン掃除を検討する方も多いでしょう。なかには、費用を抑えるために、業者によるエアコンクリーニングではなく、自分で掃除したいと考えている方もいるのではないでしょうか。

自分でエアコン掃除をする際のアイテムとして、エアコン掃除スプレーがあります。簡単にエアコン掃除ができそうですが、エアコン掃除スプレーをつかったクリーニングはおすすめできません。

今回は、なぜエアコン掃除スプレーを使わない方がよいのか、業者に頼んだ方がよい理由も含めて紹介します。

エアコン掃除スプレーを使ってはいけない理由

一見便利に感じるエアコン掃除スプレーですが、専門家目線では「おすすめできない」という意見もあります。一体どのような点が問題なのでしょうか。

ここでは、エアコン掃除スプレーをおすすめできない4つの理由をご紹介します。

あまりキレイにならないため

エアコン掃除スプレーは吹き付けた部分の汚れが落ち、清潔になったように感じます。しかし、長い間掃除していない場合、スプレーを吹きかけただけでは汚れは落ちません。

また消臭タイプのものは吹き付けた瞬間に臭いが軽減されるため「汚れが落ちた」と感じる場合もあるでしょう。実際は、汚れ自体をこそげ落としてしっかり掃除しなければキレイにならないため「スプレー缶を使い切ったのに効果がなかった」といった事態を招くケースもあります。

カビの発生や悪臭の原因となるため

エアコン掃除スプレーを使用した後にはすすぎ洗いを行う必要があります。

スプレー缶自体にすすぎ洗いの必要性が記載されていないかもしれませんが、スプレーしてそのままにしておくと、薬剤の成分がエアコン内に入り込んだまま残ってしまいます。結果べたついた感触となるため、かえって汚れが付きやすくなってしまうのです。

また、スプレーの成分がカビの栄養源となり、カビが増殖する原因となる場合も。カビが増えてしまえば、もともとあった悪臭もさらにひどい状態になる可能性もあります。

健康へ悪影響を及ぼす恐れがあるため

スプレーした後のすすぎ洗いが充分でなくカビが増えてしまった場合には、健康被害につながる恐れがあります。

エアコン内部にカビが発生したまま使っていると、エアコンの風に乗って室内にカビが飛散し、咳やくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を引き起こすことがあるのです。

「たかがカビ」と思っていても、人によっては長引く咳や息苦しさ、呼吸困難などの重い症状が出ることもあるため、注意が必要です。

故障の原因となるため

エアコン掃除スプレーが電気系統の部分にかかってしまうと故障の原因になります。発火する恐れもあるので、自分でエアコン掃除スプレーを使ってエアコンクリーニングすることはおすすめできません。

他にも、エアコン掃除スプレーによってエアコン内のホコリが固まり、排水ホースなどに詰まり水漏れを起こすこともあります。修理費用を考えると、エアコンクリーニング専門の業者に依頼した方がよいでしょう。

メーカーが推奨していないため

国内の大手エアコンメーカーでは、エアコン掃除スプレーの使用をおすすめしていません。
メーカーごとの対応を見ていきましょう。

HITACHI

市販の洗浄スプレーでエアコンのお手入れはできますか?
市販のエアコン洗浄スプレーは使用しないでください。

エアコン内部に残った洗浄剤で、樹脂部品の破損・電気部品の絶縁不良などが発生し、エアコンが運転できなくなったり、発煙・発火につながったりする恐れがあります。

エアコンクリーニング(内部洗浄)は高い専門性が必要です。お買い上げの販売店、もしくは当社の修理相談窓口にご相談ください。

引用:HITACHI・よくある質問

SHARP

市販の洗浄スプレーを使って内部の洗浄を行ってもいいですか?

洗浄剤がエアコン内部の電気系統、プラスチック部などにかかると、故障の原因となり、感電・水漏れなどの危険性があります。

そのため、エアコン内部の構造についての知識(電気系統の配置、プラスチックに及ぼす薬剤の影響に関する知識)が必要となりますので、専門知識を持たれない方によるエアコン内部の洗浄はお勧めできません。

引用:SHARP・サポートお問合せ「コールセンターからのアドバイス」

Panasonic

【エアコン】洗浄スプレーでお手入れはできるか

市販の洗浄スプレーは使わないでください。エアコン内部の洗浄は高い専門知識が必要です。お客様ご自身で洗浄を行うと、内部部品の破損による水漏れや電気部品の故障等を引き起こし、最悪の場合、発煙・発火につながるおそれがあります。

引用:Panasonic・よくあるご質問

このように、誰もが名前を聞いたことのある大手メーカーでも利用は非推奨となっていますね。理由は3社とも共通して「故障の原因となる」ことを挙げています。

エアコンは決して安い買い物ではありませんから、できるだけ長く、問題なく使いたいものです。そのためには、エアコンの構造に最も詳しいと思われるメーカーのアドバイスを基準として使用するとよいでしょう。

エアコン掃除スプレーとクリーニング業者のメリットを比較

ここからは、エアコン掃除スプレーとクリーニング業者、それぞれのメリットについて比較していきます。

エアコン掃除スプレーのメリット

手軽に掃除できる

エアコン掃除スプレーを使うメリットとしてまず挙げられるのは「手軽さ」です。薬局やスーパー、DIYセンター、オンラインショップなど、さまざまな場所で手軽に購入でき、購入後すぐに使うことができます。

自由なタイミングで使える

使うタイミングも自分で決めることができ、部屋の掃除をするついでに使用する、といったこともできます。

エアコンクリーニング業者に依頼する場合には、電話やメールなどで予約し、スケジュールを立ててクリーニングを実施する必要があるため、それに比べると非常に手軽でしょう。

出費が少ない

さらに、エアコン掃除スプレーは1本300円程度、高価なものでも1,000円程度です。

費用が少なく済むのもメリットといえますが、これに関しては長い目で見ると必ずしも「安く済む」とはいえません。

というのも繰り返しお伝えしているとおり、エアコン掃除スプレーを使用した後に必要となるすすぎ洗いを、素人が完璧に行うのは難しいからです。すすぎ洗いがしっかりできるのであれば問題ありませんが、一般家庭で行うのはまず無理でしょう。

すすぎ洗いを充分にできずそのままにしておけば、本来の寿命よりも早く故障する可能性があります。また、悪臭やカビがひどくなり、結局エアコンクリーニング業者に依頼することになる、というケースも少なくありません。

こうしたことから、1回の掃除・クリーニングに対するコストは少なく済みますが、長い目で見るとお得とはいい難いのです。

エアコンクリーニング業者のメリット

今度はエアコンクリーニング業者に依頼する場合のメリットを見ていきましょう。

プロの技術で手が届きにくい部分までお掃除してくれる

1つ目は、プロの技術によってエアコンの内部までしっかり汚れを落としてもらえることです。エアコンクリーニング業者は高圧洗浄機や、プロ仕様の薬剤を使用して、素人では手が届かない部分までしっかり掃除してくれます。

本体のカバーを外して高圧洗浄機で汚れを除去していくのが一般的ですが、なかにはエアコンを解体しての掃除に対応している業者もあります。

カビが増殖する原因を作らない

プロの掃除では洗剤を使った後のすすぎ洗いまでしっかり行うため、エアコン掃除スプレーを使った後のベタベタ感とそれに付着するホコリ、汚れが残りません。

またそれにともなって、メーカーが危惧する水漏れや火災、故障なども防止できるため、安全面で不安を抱えることがないのもメリットです。「プロにまかせたから」という気持ちで、安心できるでしょう。

エアコン掃除スプレーとクリーニング業者のデメリットを比較

続いて、エアコン掃除スプレーエアコンとクリーニング業者、それぞれのデメリットについて比較していきます。

エアコン掃除スプレーのデメリット

エアコン掃除スプレーを使ってはいけない理由で解説した通り、エアコン掃除スプレーのデメリットには「あまりきれいにならない」「カビの発生や悪臭の原因となる」「健康への悪影響」「故障の原因になる」といったものがあります。

他にも、手間がかかることもデメリットです。エアコン掃除をする場合、スプレーがかかってはいけない部分や、床や壁の養生を自分で行う必要があります。養生ができていないと、跳ね返ってきた洗浄水で床や壁が汚れてしまいます。

また、お掃除機能が付いたエアコンは、入り組んだ構造をしています。プロでも組み立てが難しく、作業時間がかかるため、素人が掃除するのは厳しいでしょう。

エアコンクリーニング業者のデメリット

エアコンクリーニング業者を利用する上で、最大のデメリットは費用がかかるという点でしょう。エアコン掃除スプレーであれば、1本300円程度で済ませることも可能ですが、専門業者に依頼した場合、1台あたり1万円ほどかかります。

もう1つのデメリットは、スケジュールの調整です。自分でエアコン洗浄する場合は、いつでも好きなタイミングで作業に取りかかることができます。しかし、業者に依頼する場合は、事前に日時の調整が必要です。とくに、夏や冬といった繁忙期は、希望日での予約が取りにくいこともあります。

購入済みのエアコン掃除スプレーの使い道

ここまで、エアコン掃除スプレーがあまりおすすめでない理由について触れてきました。すでに購入してしまった場合には、エアコンでなくほかの用途に利用しましょう。

ここでは、購入済のエアコン購入済のスプレーの使い方をご紹介します。

エアコンフィルターの掃除

まずは、エアコンフィルターの掃除です。エアコンフィルターは、取り外しが可能なパーツですから、取り外してエアコン掃除スプレーで掃除しても問題ありません。

フィルター部分にスプレー噴射し、ブラシなどで軽くこすったら、すすぎ洗いをしっかり行いましょう。「すすぎ洗い不要」と記載されているエアコン掃除スプレーでも、しっかりすすぐことでカビやホコリを防止できます。

網戸や雨戸の掃除

網戸や雨戸への使用もおすすめできます。

エアコン掃除スプレーは一般的に、洗浄成分となる界面活性剤のほか、抗菌剤、消臭剤、噴射剤のガスからできています。住まい用の洗剤として幅広く使えます。

網戸や雨戸は、普段から外気にさらされており汚れやすい箇所なので、エアコン掃除スプレーを使用する場所として適しています。軽いホコリ汚れであれば、スプレー噴射だけでさっと洗い流せばよいでしょう。

砂や土がなかなかとれない場合には、使い古しの歯ブラシでこすり洗いした後に洗い流せばすっきりキレイになります。

水回りの掃除

エアコン掃除スプレーは、浴室掃除にも役立ちます。排水口付近の汚れが溜まりやすい部分に、風呂用洗剤の代わりとして使用しても同様の効果を得られます。

防カビ剤が含まれているものであれば、浴室の隅やタイルの継ぎ目、椅子の裏側、浴室扉の溝などに発生しやすい黒カビ対策にも役立つでしょう。

エアコンクリーニング業者を選ぶ際のコツ

ここからは、エアコンクリーニング業者を選ぶ際のコツについて解説していきます。

実績は豊富か

クリーニング実績が豊富な業者は、技術力が高い傾向にあります。実際にどのくらいエアコンクリーニングを行ってきたかは、業者の公式サイトを見ればある程度わかるでしょう。

エアコンは次から次へと新しいモデルが登場しています。新しい製品への対応力や、技術を維持するための研修が実施されているかなども判断材料となるでしょう。

利用者の評判や口コミはよいか

エアコンクリーニングは、自宅内で行います。作業スタッフが室内に長時間滞在することになるので、実際に利用した方の評判や口コミを事前確認しておくと安心です。

ホームページや口コミサイトを閲覧すれば、エアコンクリーニング業者の評判を簡単に知ることができます。エアコンクリーニング業者の公式サイトだけでなく、利用者による評判や口コミを知ることで、中立的に業者を選ぶ手助けになるかもしれません。

明確な価格を提示しているか

エアコンクリーニングの価格は業者や地域によって変わります。

目安として、お掃除機能が付いていない壁掛けタイプエアコンの場合、1台あたり8,000円〜1万円、お掃除機能が付いたエアコンは、1台あたり1万3,500円~1万5,500円程度が相場です。相場を大きく超えるエアコンクリーニング業者への依頼は控えた方がいいかもしれません。

また、問い合わせの際にトータルでかかる費用を明確に提示してくれる業者を選びましょう。一般的に、重度な汚れがあったからといって追加費用が発生することはありません。そのような理由で料金が変動する業者は控えましょう。

賠償責任保険に加入しているか

エアコンクリーニングによって、故障や破損が起きた場合に補償してもらえるかもポイントです。賠償責任保険に加入していないと、修理費用を支払ってもらえないことがあります。事前に、賠償責任保険に加入しているかどうかを確認しましょう。

一般的に、賠償責任保険で補償してもらえるのは、部品の破損や電気部品が濡れたことによる本体故障です。他にも、クリーニング作業によって部屋の壁や床が汚れた、家具や家電を傷付けたという場合も補償されます。

エアコンクリーニングによってエアコンが故障した場合、新品との交換ではなく、クリーニング料金の返金や、修理対応になるので注意しましょう。

また、古いエアコンの場合、エアコン内部がきれいになったことで流れる電流が増え、それに耐えられなくなって壊れてしまうこともあります。このような場合は、エアコンの老朽化が原因なので補償の対象になりません。

安くエアコンクリーニング業者に依頼するコツ

エアコンクリーニング業者に料金を抑えて依頼するコツについて紹介します。

料金が安くなりやすい閑散期に依頼する

エアコンクリーニングには、繁忙期と閑散期があります。エアコンクリーニングの繁忙期は、エアコンの利用が増える6〜8月です。一方、春であればゴールデンウィーク前、秋であれば暖房を本格的に使い始める前の9月中旬~10月ごろが閑散期です。

閑散期には、割引などのキャンペーンが行われることもあります。料金相場も、通常より下がるのでおすすめです。また、料金が安くなりやすい以外に、スケジュール調整がしやすいというメリットもあります。

複数台まとめて依頼する

複数台のエアコンをまとめてクリーニング依頼することで、1台あたりのクリーニング費用を下げられる場合があります。

料金にはクリーニング作業代だけでなく、出張費も含まれています。そのため、まとめて依頼することで割引されることがあります。割引方法はさまざまですが、例えば台数が増えると基本料金が安くなる、1台ずつ追加するごとに1,000円ディスカウントされるなどがあります。

地域密着型の業者に依頼する

CMや雑誌などに露出が多い大手のエアコンクリーニング業者よりも、地域密着型の業者の方がコストパフォーマンスがよい傾向にあります。

理由としては、大手ほど広告費をかけないことや故障の際にすぐ駆けつけてくれることなどがあります。また一概に「安い」というと語弊があるかもしれませんが、地域密着型の業者は、業務がマニュアル化されていないことが多く、価格・サービス面で融通が利く可能性もあります。

さらに、地域密着の業者であれば、顧客との付き合いを1回きりでなく長期で考えるところが多いでしょう。長い付き合いの顧客は近所に評判を広めてくれる、独り立ちした家族にも勧めてくれるなど、業者にとってうれしい行動をとってくれることもあります。そうした関係性の顧客を増やすために、良心的な価格でサービスを提供している業者は少なくありません。

まとめ

今回は、エアコン掃除スプレーを使ってはいけない理由を解説してきました。

エアコン掃除スプレーは安く、すぐに作業に取りかかれる点で便利なアイテムといえます。しかし「エアコンを長持ちさせる」「安全に掃除をする」という観点からいえば、知識と経験を持ったプロのクリーニング業者に依頼することをおすすめします。

エアコンを長く快適に使用するなら、クリーニング業者に相談してみましょう。